アメリカ国債市場は世界最大の金融市場
これは流動性がとても高いことを意味しています。投資においてもっとも大事な要素です。流動性が高いとは、いつでも売買し現金化できるということです。逆に不動産は、流動性が低い投資商品の代表です。バブルがはじけた時は買い手が現れないまま、資産が目減りしていくのをただ指をくわえてみているしかなかったですよね。
アメリカ国債には2種類あります。
1.利付国債
クーポンと呼ばれる利子がついていて、毎年、元本に対する利子分を受け取ることができます。日本の国債は利付債です。
2.ディスカウント債 (ゼロクーポン債) (ストリップ債)
利子の支払いは行われず、その代わりに、満期までの利子に相当する金額が元本から差し引かれた価格で発行され、満期時に額面金額で償還される債券です。
利付債をベースにもうちょっと詳しく説明しますね。
ゼロクーポン債も基本は同じです。債券そのものには、元本とクーポンがあります。購入時に元本の額を支払い、満期(償還)時には同じ金額が返還されます。
クーポンとは、
年数分だけクーポン券がついていると思ってください。 10年物の国債であれば10枚ののクーポン券です。クーポンには利率が表示されています。たとえば利率が3%だとすれば、10枚のクーポンにそれぞれ3%と表示され、元本金額に3%を掛けた金利がもらえることになっています。毎年決まった時期に、その年のクーポン券をちぎって持っていくと、金利分のお金に換えてくれるイメージです。(実際には振り込まれるのですが)たとえば、元本を100万円で買って、10年間保有して償還を迎えると、100万円がそのまま戻ってきます。元本と利率は購入時点と償還時点で変化しません。
つまり、満期まで持ちきることを前提に (これがミソです!)、 元本は100%戻ってきて、金利分の30万円が利益になります。※日本では30万円に対し20%の税金がかかります。(2017/12時点)
そのため、債券は"Fixed Income"と呼ばれます。
この満期まで持ち切ることが非常に重要です!!
国債の価格が上がった、下がった、暴騰した暴落したというニュースを耳にすることがあると思いますが、それは満期の途中で売買をするからであって、最初から満期まで持つつもりの人にとっては、全く関係ない話しなのです。
元本の表し方について
元本は途中で変化が生じるため、額面価格の100%という意味で、”100”と表現します。新発債はすべて額面の100%になります。
たとえば、100万円額面の債券でも、1億円が額面の債権でも、その価格を表示するのは100(100%)になります。仮に5%価格が上昇すれば、価格表示は105になります。
銘柄名 [銘柄コード] |
利率 (%) |
償還日 |
残存 |
購入単価 |
利回り (%) |
通貨 |
アメリカ国債 [L2204] |
1.625 |
2022/11/15 |
4年10ヶ月 |
98.27 |
1.990 |
米ドル |
残存が4年10か月となっているのは、新発債ではなく既発債だからです。簡単に言えば、中古の国債ですね。一般的に私たちは既発債を売買します。購入単価が98.27になっていますね。
これは、額面100万円の98.27%の982,700円で購入し、償還日の2022/11/15に100%の100万円が戻ってくるということです。
つまり、17,300円のプレミアがついています。
利率1.625はクーポンの利率です。元本100に対し1.625%の利息が毎年支払われます。
それでは利回り1.990はどういう意味でしょうか?
実質98.27%で購入しているので、その分も考慮した場合の利回りが1.990になります。国債の購入を考える場合は、この利回りを見ましょう。
日本国債も同じ仕組みですが、マイナス金利政策を取っているくらいなので、利率の魅力に欠けます。
どうでしょう?
わかりましたか?説明ヘタですいません…。
ネットで検索すれば、もっとわかりやすいサイトがあると思いますので、自分で調べてみてください。
さて、ゼロクーポン債の違う点を説明します。
イメージとしては、利付債は金利を毎年受け取るのに対し、ゼロクーポン債は金利分を受け取らずに、翌年の元本に組み入れて複利運用すると思って下さい。
それ以外は利付債と同じです。
銘柄名 [銘柄コード] |
利率 (%) |
償還日 |
残存 |
購入単価 |
利回り (%) |
通貨 |
(ゼロクーポン) [L9026] |
0.000 |
2020/02/15 |
2年1ヶ月 |
97.13 |
1.360 |
米ドル |
ゼロクーポン債なので、利率はゼロです。
購入単価が97.13なので、額面の97.13%で購入して、2年1か月持ち切ると、額面の100%が受け取れます。これを利回りで表すと1.360になるということです。
2017/12/20時点で野村が扱っている最長のゼロクーポン債は28年1か月で、購入単価が47.24、利回りが2.680でした。税引き前で倍以上になって戻ってきます。
その他のアメリカ国債の特徴について
- 売買の手数料は無料です。(株のように売買手数料は取られません。)
- だいたいどこも1,000ドル単位で売買可能です。
- 途中で一部だけ売ることも可能です。例えば、最初に10,000ドル分を購入し、途中で1,000ドルだけ売却して現金化することができます。
- いつでも好きな時に売却が可能です。
(その時の購入単価になるので購入時より安くなる場合もあります。) - 証券会社で米国債を買うと、証券の管理口座とは分別されるので、証券会社が倒産してもあなたの資産は守られます。
どこで買うことができるの?
証券会社で扱っていますが、在庫が多い大手証券会社がお勧めです。
私は野村証券を使っています。
米国債はどの証券会社で購入するのでもほとんどの場合、既発債の購入になります。
購入手数料は、提示価格に織り込み済みですので、別途必要になることはありません。
野村証券での購入方法は以下の通りです。
- 証券会社の口座を開設してください。
- 口座に資金を送金します。
円貨でも外貨でも送金可能ですが、外貨の場合は送金手数料が発生します。送金が3万ドル以上の場合は、送金手数料が全額戻ってくるサービスがあります。 - NETの「債券/ 既発外国建債券」で取り扱っている債券を確認し、購入したいものを決めておきます。
- 支店に電話して、欲しい債券を購入してください。
購入単価は最新のものを確認してください.
アメリカ国債のリスクについて
これまで説明してきたように、満期まで持ち続けることを前提にすれば、リスクはかなり小さいです。しかし、ゼロではありません。
為替リスクが存在します。
購入時が1ドル100円で、償還時が80円だった場合、円建てにすると80%になってしまいます。
⇒ 償還金額と為替の関係で、1ドルいくらになったらブレイクイーブンになるかを
シミュレーションしてください。
⇒ 償還時にドルで受け取ることが可能です。円高によるデメリットが大きい場合は
ドルで据え置くことも 考えてください。
アメリカがデフォルトすると無価値になります。
デフォルトとは、会社の倒産と同じで借金を返済できなくなることです。
将来、アメリカが倒産する事態が発生するかもしれないと思う方は、購入を控えた方がいいですね。
インフレに対してヘッジができない。
日本の物価が上昇傾向にある場合、アメリカ国債は物価に連動しないので、償還金額が実質的に目減りする可能性がある。
インフレリスクに対応するのであれば、日本社の株式などになります。
なぜなら、インフレによって物価が上昇すると、日本社の売り上げに貢献するので、業績が向上するのに連動して株価が上昇するためです。ただし、すべての会社の業績が向上するわけではないので、会社の選定が重要になります。
年齢によるアメリカ国債との付き合い方について
最後に私が考えるアメリカ国債との付き合い方についてお話しして終わりにしたいと思います。
前回のブログで若いうちは、
時間と複利のパワーを最大限使おうとお伝えしました。
社会人現役の間は、ゼロクーポン債を購入し、複利のパワーで資産を増やします。
ただし、満期まで持ち切ることが一番重要なので、途中で売却をしなくてもいい程度の資産にします。
リタイアした後は、
複利で増やした資産と退職金などのまとまった資産で、利付債を購入します。
例えば5,000万円で30年、3%の利付債を購入すると、毎年、税引き後120万円を30年間受け取ることができます。
この120万円は、その年に使い切ります。奥さんと旅行に行ったり、孫のプレゼント代にしたり。なぜなら、元本の5,000万円には一切手を付けていないので、安心して使えるお金です。
いかがしょうか?
退職までに1億円貯めたとしても、それが少しずつでも目減りしていくと、怖くて使えなくなるものです。今のリタイア世代の人が消費を控えるのもそういった心理が働いているのではないでしょうか。
本日はだいぶ長くなってしまいすいませんでした。
See you next !!