私は日本の4年制の大学を卒業し、新卒者一括採用の枠組みで就職をしました。
そして、6年目に今の外資系保険会社に転職をしています。
日本の会社と外資系の会社に在籍したことで、双方の採用や転職に対する考え方の違いを知ることができました。
それぞれの採用戦略や考え方に優劣をつけるつもりはありません。
それぞれにメリット・デメリットがありますし、日本に住んでいる以上、日本の採用戦略に合わせざるを得ない人がほとんどでしょう。
しかし、違いを知っておくことは、これから社会人を目指す学生さん、小さな子供を持つお父さん・お母さん、転職を考えている社会人の皆さんに、決してマイナスにはならないだろうと思っています。
そして、少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
日本とアメリカの雇用戦略の違い
新卒一括採用という雇用戦略は日本独特の習慣だと思ってください。
アメリカでも新卒採用は存在しますが、それは優秀な学生を将来の「エグゼクティブ」「オフィサー」と呼ばれる経営者層の予備軍として採用することが目的であり、日本の主旨とは全く異なります。
それでは普通のアメリカの学生さんたちはどうやって就職するのでしょうか?
ネットや新聞などをチェックし、企業が発信する募集要項を見て、新卒者も中途採用者も同じ土俵で戦うのです。つまり、日本では新卒者が有利に働く社会であるのに対し、アメリカではそのようなアドバンテージは全く存在しません。
また、アメリカの採用は、JOB型の採用募集になりますので、そのポジションにあったスキルと経験が必要であり、自分の能力がそのまま給料やポジションに直結します。
したがって、日本では4年制大学(Under graduate)を卒業してどこかの企業に就職するのが一般的ですが、アメリカでは大学院(graduate school)や修士課程(Mastered degree)に進み、スキルを習得してから就職活動を行う人たちが多いのです。
あえて英語表記をしたのですが、4年制大学を卒業することを”Under graduate”といい、大学院を卒業することを” graduate school”と言います。
つまり、アメリカでは4年制大学は卒業と認めていません。大学院を経て、初めて専攻したスキルを習得したと認めてくれるのです。
アメリカの学生は、将来目指したい職種やポジションの目標を定め、そこにたどり着くためのスキルは何が必要で、自分に足りないものが何かを自覚します。
そこで転職を繰り返しながら、自分のスキルアップとポジションアップを目指すのです。
そのため、アメリカでは転職はごくごく普通のことであり、退職後に大学に戻って修士課程を受ける人たちもすくなくありません。
私の知り合いのイギリス人も、日本で数年間、英会話スクールで働いていたのですが、国に戻ってMBAを取得したいと帰国していきました。
逆にひとつの企業に何十年も居ると、行き手がない能力の無い人だと見られてしまうこともあるそうです。
私の会社もとにかく人の出入りが激しいですね。
日本社ではあまり考えられないと思いますが、出戻りするたびにポジションがあがり、3回目の戻りでCEOになった人もいるくらいです。笑
また、外資系保険業界では、業界内で人がぐるぐると巡っているのがよくわかります。
一般の社員はもちろんのこと、CEOやマネージメントレベルでも同じです。まさに人材交流が行われているのです。業界の人たちが集まるネットワークに顔を出すと、先月までA社にいた人が、今月はB社の社員として参加していることが良くあります。笑
次に日本の雇用戦略について考えてみたいと思います。
新卒一括採用は、学生に就職しやすい環境を提供しているというメリットがある反面、大学で専攻したスキルを生かせないデメリットがあります。
一部のプロフェッショナルは別にして、まずは営業現場に配属させ、営業成績や適性を見てから配属先を決めていくことが多いですね。
そのため、せっかく高学歴で一流企業に入っても、仕事や人と合わずに一度ドロップしてしまうと、学歴のアドバンテージを失います。
そこからキャリアアップを目指すことがとても難しいが日本の社会構造になっています。
少しずつですが、日本でもアメリカのJOB型採用に切り替わるところも出始めています。ここ数年で大学生を対象にしたインターンシップ制度に注目が集まるようになってきています。
私の会社でも、ここ最近インターンシップという言葉を社内でずいぶん耳にするようになってきました。
新卒一括採用の制度がすぐになくなるとは思えないので、その枠組みの中で就職をするのもいいと思いますし、早くから自分の目指す方向を決め、そのためのスキルを磨き、アメリカの現地採用を利用したり、インターン制度を利用して、企業に自ら訴える行動を起こすのもいいでしょう。
新卒一括採用で就職した場合は、その後の行動が大事になります。
将来のキャリアアップについて、なるべく早く具体化し、そのための行動を早く起こせば起こすほど、良い職場環境をゲットすることができるのではないでしょうか。
次回は私自身のキャリアと、これまでの経験から少しでも参考になるようなことを書いてみたいと思います。
See you next !!