これからのシリーズは建材毎の情報をお伝えします。
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今回は屋根について、主にネットや書籍から調べた情報をご紹介したいと思います。
我が家は築35年のスレート屋根なので、だいぶ痛みが出ていましたので、葺き替えを想定していましたが、設計士さんからカバー工法でも品質の担保ができること、コスト的に優位があることを理由にカバー工法を選択しました。
1.屋根の改修方法
ここでは代表的な屋根スレートのメンテナンス方法をお伝えします。それぞれの特徴を掴んでベストなメンテナンス方法を選びましょう。
1-1.屋根塗装
古いスレートの塗装を高圧洗浄機などで取り除き、傷んだ箇所を補修後、再塗装するメンテナンス方法です。再塗装によりスレートの経年劣化のスピードを遅らせます。ただし、すでに経年劣化したスレートに再塗装をしても無駄です。ボロボロになったスレートに塗装をしてもすぐに剥がれてしまいます。その場合は、屋根の葺き替えをおススメします。
1-2.屋根の葺き替え
スレート屋根をすべて新しく取り替える方法です。「スレート」、棟板金などの「水切り金具」、「ルーフィング」だけを取り替えることがほとんどですが、屋根の傷み具合によっては、その下の「野地板」まで取り替えることもあります。スレート自体が酷く傷んでいる経年劣化の場合は、塗装ではなく必ずこの屋根の葺き替えを行いましょう。メンテナンスのついでに100%雨漏りを止めたいという方には、うってつけのメンテナンス方法です。
1-3.屋根カバー工法
屋根カバー工法とは、傷んでスレートの上に、そのまま新しい屋根材を施工する方法です。外見は葺き替えと同様にすべて新しくなります。このメンテナンス方法のメリットは、葺き替えよりも費用が安く、工事期間も短縮できることが挙げられます。
1-4.屋根修理・屋根補修
最も屋根スレートが壊れる箇所は、棟板金部分です。棟板金とは、スレート屋根の頂上部にある金属板のことです。この部分が突風や強風の影響が一番受けやすいので、損害が頻繁に発生します。このように突風や強風で損害を受けることを「風災」といいます。もしも、あなたがすでに火災保険に加入されていれば「風災補償」で屋根スレートの修理・補修ができるかもしれません。99%の火災保険には、この「風災補償」が自動で付いています。このように「風災補償」の範囲は、意外に広いのです。台風や竜巻が来ていなくても「風災補償」で十分に対応可能な場合もあります。自費やDIYで屋根を修理すべきかどうかは「風災補償」で対応かどうかを確かめてからでも、遅くはないでしょう。
2.メンテナンス費用の目安
屋根の葺き替え 30万円~270万円(足場代を含む)
屋根カバー工法 80万円~250万円(足場代を含む) ← 我が家はコレ 134万円
屋根塗装 35万円~120万円(足場代を含む)
屋根修理・補修 3万円~100万円(足場代を含む)
※10坪~30坪の範囲で計算しています。
※屋根勾配や屋根の下地状態によっては範囲外になあります。
※一般的な品質材料での目安です。特殊な材料の場合は除きます。
3.築年数ごとのメンテナンス方法
ここでは、築年数ごとにやるべきメンテナンス方法をお伝えします。
3-1.築年数10年未満
メンテナンスは不要。
もしも雨漏りがあるようでしたら、それは施工不良ですので、家を建てた業者に連絡しましょう。無料で修理してもらえるはずです。明らかに壊れている場合は、十中八九、突風や強風による破損です。火災保険の「風災補償」で修理できます。
3-2. 築年数10年~20年
1度目の塗装。
スレート屋根に何ら問題が生じていなくても必ず、再塗装を行なうべきです。ここで手を抜くとスレート屋根の寿命が、著しく短くなります。後悔されている方のほとんどは、この時期に塗装されていません。
3-3. 築年数21年~30年
2度目の塗装または屋根補修。
湿気や積雪の多い地域では2度目の再塗装を行ないましょう。それ以外お地域では、スレート屋根の状態をみて、必要最低限な屋根補修だけはメンテナンスすることをおススメします。
3-4. 築年数31年~45年
3度目または2度目の塗装。
この時期では、再塗装をしていてもスレート屋根もかなり傷んでいます。雨漏りなどがあまりしていないようなら、再塗装をしましょう。今まで1度も再塗装をしていないようでしたら、葺き替えも視野に入れて検討すべきです。
3-5. 築年数46年以上
屋根の葺き替え。
もうほとんどスレート屋根の寿命は過ぎています。これからもその住宅に住み続ける予定であれば、必ず屋根の葺き替えをしましょう。または、これを機会に住宅を建て替えされるのも1つの方法です。
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4.屋根の種類
当初は葺き替えを予定していたので、屋根の種類についても調査しました。
4-1. スレート屋根
「スレート」という屋根材を施工した屋根のことをいいます。そのスレートは「天然スレート」と「化粧スレート」の2つに大別されるのが普通です。
4-2. トタン屋根
トタンは鉄板を亜鉛めっきで覆ったもので、それを屋根材として用いたのがトタン屋根です。亜鉛の犠牲防食作用を利用して、鉄板のみの場合よりもさびにくく加工したものです。比較的安価なので、工場や倉庫に多く利用されています。
4-3. ガルバリウム屋根
ガルバリウム鋼板は55%のアルミニウムを含む亜鉛合金でめっきしょりされた鋼板です。めっき層にアルミニウムを含んでおり、トタンの約5倍の耐久性と熱反射性をもちます。もとの表面は銀白色ですが、塗装を施すことで、耐久性を向上させ、カラーバリエーションも豊富になります。近年一般住宅で多く使われています。
4-4. ステンレス屋根
基材にステンレスを使用した鋼板を屋根材にしています。耐久性・耐食性・強度に優れています。表面に塗装を施すことでさびを防いで使用します。非常に高価なので、住宅にはあまり使用されていません。
4-5. 銅屋根
銅板は伸縮性・加工性が高く、大気中で保護膜を形成するので、高い耐久性を持ちます。空気に触れると酸化し、色の変化が起きます。この変化は、地域や環境によって異なります。
4-6. チタン屋根
チタン板は軽量で、強度・熱反射性にも優れた屋根材です。高価で加工性にやや劣るという面もありますが、浅草寺の屋根に使われたこともあり、注目されています。
※4-2~4-6は、金属屋根と言われています。
5.スレート屋根の特徴
「スレート」という屋根材を施工した屋根のことをいいます。そのスレートは「天然スレート」と「化粧スレート」の2つに大別されるのが普通です。
5-1. スレート屋根の種類
■天然スレート
天然スレートは、粘板岩を薄く板状に加工した屋根材です。天然の岩を使用するので非常に高価なため、ほとんど普及していません。また、運搬にも細心の注意が必要で、以外と割れやすく、重量もあり、加工にも匠の技術が必須になりますので、どうしても施工費用も高額になります。国内では、宮城県石巻市雄勝町でしか生産されておらず、ほとんどは海外からの輸入に頼っていますので、あまり出回っていません。余程、天然スレートに魅力を感じない限り、縁遠い屋根材といえます。
■化粧スレート
化粧スレートとは、セメントと繊維を混ぜて、厚さ約5mmに成型された平板状の屋根材です。薄い平板状なので、施工時の運搬がしやすく、また工業製品ですので、品質が均一化されています。そのため、現場での加工は最低限で済むので施工費も安いです。有名な化粧スレートとして、カラーベストやコロニアルがあります。以前、この2つが、爆発的に普及したので、その他の化粧スレートも「カラーベスト・コロニアル」と呼ばれることもあります。化粧スレートは、含まれている繊維の種類によって「石綿スレート」と「無石綿スレート」に分けられます。
■石綿スレート
石綿とは、英語ではアスベストといいます。セメントと混ぜる繊維の一部に石綿(アスベスト)を使用しているものが石綿スレートと呼ばれています。平成18年以前に製造された化粧スレートには、石綿(アスベスト)が含まれている可能性があります。
アスベストといえば、その健康被害が懸念されますが、今住まわれている屋根が化粧スレートでもすぐに健康被害が出るわけではありません。そのままでも、アスベストが飛散することはまずないでしょう。しかし、雨漏りや経年劣化等で屋根の葺き替えをされる場合は別です。葺き替え工事中にアスベストが飛散するので、施工業者との綿密な打ち合わせが必須です。
■無石綿スレート
石綿(アスベスト)が含まれていない化粧スレートを無石綿スレートといいます。平成18年にアスベスト規制が強化され、現在、製造販売されている化粧スレートには全く石綿(アスベスト)は含まれていません。
5-2. スレート屋根のメリット・デメリット
スレート屋根は、安価で加工性もよく、耐久性も程よくあり、現在も最も普及している屋根材です。分かりやすくお伝えするために、ここでは、スレート屋根以外の日本瓦屋根・ガルバリウム鋼板屋根との比較でそのメリットとデメリットをお伝えします。
■日本瓦屋根との比較
メリット①:耐震性が高い
理由:重量が軽いから。日本瓦の重さは、約165kg/坪で、スレートの重さは、約68kg/坪です。その差は約2.5倍です。
メリット②:色合いが豊富
理由:スレート屋根は表面に塗装をして色合いを決められるからです。その数は24色以上あります。日本瓦は、塗装できないため、数種類の数からしか選べません。
メリット③:修理費用が安い
理由:スレート屋根のほうが、屋根構造が単純だからです。日本瓦屋根は、日本瓦の下に桟木を設置したり、のし瓦や鬼瓦などの棟瓦の施工や漆喰も塗らなければなりません。一方、スレート屋根は、基本的にスレートと水切り金具の構造で、修理に手間が掛かりません。
デメリット①:塗装メンテナンスが必要
理由:スレート屋根は表面が塗装されているので、経年劣化等で定期的な再塗装が必要ですが、日本瓦屋根は、素材自体の色か、釉薬で覆われた陶器ですので、色あせはほとんどしません。
デメリット②:耐久性が低い
理由:スレート自体は、キチンとメンテナンスをして寿命は30年~50年といわれていますが、日本瓦自体はメンテナンス不要で50年~100年が寿命といわれています。
デメリット③:強度が低い
理由:スレートの厚みは、約5mmで、材質はセメントと繊維です。日本瓦の厚みは、約10mm~20mmで、高温で焼き上げた陶器です。当然スレートのほうが強度は低いといえます。
■ガルバリウム鋼板屋根との比較
メリット①:色合いが多い
理由:スレート屋根は、表面に塗装をして色合いを決められるからです。その数は24色以上あります。ガルバリウム鋼板屋根も表面に塗装しますが、まだその種類は限られているのが現状です。今後は、その数も増えてくると思われます。
メリット②:凹みにくい
理由:ガルバリウム鋼板屋根は、薄い金属の鋼板ですので、ちょっとした衝撃でもすぐに凹んでしまいます。スレート屋根は、凹むことはありませんが、ある一定以上の衝撃では割れてしまいます。
デメリット①:耐震性が悪い
理由:スレートの重さは、約68kg/坪です。ガルバリウム鋼板の重さは、約17kg/坪です。その差は、約4倍です。
デメリット②:デザインが限られている
理由:スレート屋根はスッキリとしたデザインがほとんどですが、ガルバリウム鋼板屋根は、日本瓦風、洋瓦風、スレート風、金属瓦風の4デザインから選べます。
デメリット③:定期的なメンテナンスが必要
理由:スレート屋根は、約10年に1度、塗装などのメンテナンスが必要だが、ガルバリウム鋼板屋根は、30年~50年間はメンテナンス不要です。
デメリット④:耐久性が高い
理由:スレート屋根のメーカー保証期間は長くて10年。一方、ガルバリウム鋼板屋根は30年で、長いところでは50年保証が付いていることもあります。ただし、メーカー保証は、施工保証とは全く異なります。簡単に言えば、メーカー保証とは、その製品そのものの品質保証で、施工保証は、屋根全体の保証のことです。
6.金属屋根の特徴
6-1. デザインの自由度が高い
金属屋根は重ね合わせで葺く瓦や、スレートと違い、雨水の浸入する隙間がありません。そのため、勾配の緩い屋根にも用いることができます。また、加工性が高いので、曲面の屋根にも対応することができます。
6-2. 断熱性能が低い
金属屋根は熱伝導率が高く、断熱性能が低いというとくちょうがあります。その弱点を補うために、小屋裏換気、屋根通気工法は効果的です。屋根面の日射熱の吸収を抑える処理も重要です。明るい色にすることで日射反射率が高くなり、遮熱性能が高まります。ただ、近隣への屋根の照り返しには注意が必要です。
6-3. 響く雨音
金属屋根の特徴として、遮音性の低さが挙げられます。そのため雨音が室内に伝わりやすく、金属板の裏側に断熱を兼ねて、制振材を張り合わせるなどの対策が必要となります。用途や、シチュエーションによっては、雨音が情緒的な雰囲気を醸し出すので、あえて対策を施さないといった場合もあります。
7.屋根カバー工法について
屋根をリフォームする際、屋根葺き替え工事ともう一つある手法が「屋根カバー工法」です。この2つはそれぞれメリット・デメリット、そして今の屋根との相性があります。どちらが優れている、というものではありません。
7-1. 屋根カバー工法とは
「ガルバリュウム鋼板を使用した屋根カバー工法」の場合、これはただ屋根上に雨風をしのぐための二重屋根として葺くだけではなく、遮熱性に優れたガルバリウム鋼板を使っているのがポイントです。つまり、遮熱という機能性を持った屋根を載せることで、より住みやすい家になるのです。また、ガルバリウム鋼板は耐食性に強いので、酸性雨などに非常に強い、ヒビ割れの心配もないなどのメリットも有ります。
屋根カバー工法は意匠性と施工性に優れた各専用部材が出ているので、仕上がりがワンランクアップするのが1つの特徴でも有ります。
7-2. 屋根葺き替え工事と比べてのメリット・デメリット
屋根カバー工法は屋根葺き替え工事に比べて今の屋根の上に新しい屋根を載せるという二重構造にするという仕組みのため、基本的に「廃材」がでない。そのため、廃材を処分する費用や撤去費用がかからず、安価に済む、工期が短くて済むので急ぎの場合に合っている、遮音性を向上させることができるというメリットが有ります。
反面デメリットとしては、いわゆる「二重屋根」になるので、屋根の重量が増えてしまい、耐震性などが悪くなる。瓦屋根では100%不可能ではないが、お勧めは出来ない。葺き替えてしまったほうが良いケースが多い。屋根が劣化しすぎていると、内部の補修が必須になるため、結果的に施工できないことがある。などがあります。
いかがでしょうか?
屋根の改修一つとっても、いろいろな選択肢がありますね。
築年数、大きさ、傷み具合、予算、見た目などを考慮して、最適なものを選択してください。
See you next !!